本、建築、ときどき旅。
by fracoco-Y
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カテゴリ:cinema( 3 )
柔らかい肌
昨日、久しぶりで飛行機に乗った。

午後の便だからと安心していたら、前日の夜更かしが祟って、
ひどく朝寝坊してしまい、空港内を走ることを余儀なくされた。

さて、そうは言っても心浮き立つのが空港であり、飛行機である。

飛行機と、クールで美しいスチュワーデス(敢えて客室乗務員ではなくこう呼びたい)。
パリの空港にリスボンの街。
今ではごく稀になった飛行機から地上に降り立つタラップ。

思い浮かべる一本の映画。
情景からすでに心惹かれるこの映画は
フランソワ・トリュフォーの「柔らかい肌」。

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by fracoco-Y | 2009-03-07 07:52 | cinema
悲恋のその先。
悲恋のその先について。

むかしむかし、幼い子供だった頃、私は傘に激しく執着する子であった。
母が隠しておいても、家中の傘を探し出しては開いていたそうだ。
イタリア製の白い日傘を買い求めたのは3年前。

2年前には、パリの街角ですてきな傘屋を見かけた。
それは、映画「シェルブールの雨傘」に出てくるような、
小粋な傘の店であった。

さて。
久々に映画を見た。
「シェルブールの雨傘」そして「ロシュフォールの恋人たち」
シェルブールの雨傘、公開45周年を記念するデジタル・リマスターバージョンの上映。

シェルブールの雨傘、あらすじはずいぶんと有名だから、ご存知の方も多いだろう。
フランス北西部の町、シェルブールでつつましくも幸せな恋人同士であった
若いジュヌヴィエーヴとギイ。
結婚を誓い合う二人に、ジュヌヴィエーヴの母はまだ若すぎると反対。
それにもめげない二人だったが、ある日ギイに召集令状が届き・・・・・。

ギイの出発後、彼の子を宿したことに気がつくジュヌヴエーヴ。
娘の身を案じ、懐妊を祝福しながらも心配顔の母。
やがて、妊娠を承知の上で、彼女にプロポーズする宝石商、カサール。

私は、この映画を少しく誤解していたようだ。
愛し合いつつ、引き裂かれる恋人たち。
不本意な結婚。悲恋。生涯忘れ得ぬ恋。
愛のない、味気ない生活。
そういう映画だと思っていたのだ、けれど。

少し違っていた。

ギイの向こう2年間の不在。
不在の重みに押しつぶされそうになるジュヌヴィエーヴ。
身ごもっていることを百も承知で、すべてを受け入れ、
彼女を愛し、生まれてくる子をともに育てて行こうと語りかける
カサールへの信頼の芽生え。

彼女は自分の意思でカサールに嫁いで行くのだ。

一方で、除隊後、シェルブールに戻り、彼女の結婚を知るギイ。
自暴自棄になる彼をたしなめ、叱る幼馴染、マドレーヌ。
マドレーヌは、ギイがジュヌヴィエーヴと恋仲であるころから
彼を密かに思っていたが、おとなしい性格ゆえ、気持ちを打ち明けることは
なかったのだった。

しかし、マドレーヌはおとなしいだけの女性ではなかった。
荒れた生活を送るギイに、そういうあなたは嫌いだと
はっきりと告げる。

マドレーヌの支えで、しだいに自分を取り戻すギイ。
お金を貯めて、店を買い、シェルブールでガソリンスタンドを開く。
マドレーヌを人生に必要な人と感じ、所帯を持ち、
マドレーヌとの間に男の子を授かる。

数年後、クリスマス目前の雪の降りしきる日、ガソリンスタンドに
一台の車が横付けされる。
降り立ったのは身なりのよいマダム。
その人こそ、カサールと結婚したあの日、シェルブールを去った
ジュヌヴィエーヴその人だったのだ。

マドレーヌは息子を連れて買い物に出かけて不在。
ギイとジュヌヴィエーヴはスタンドの事務所でしばし語り合う。

けれど、それは涙涙の再会ではなかった。
愛惜と、わだかまりと、今ある幸せと、
二人の胸に去来したのはさまざまな思いであったことだろう。

悲恋は、悲恋。

でも、悲恋のその先=不幸ではないのだ。たぶん。
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by fracoco-y | 2009-02-22 23:41 | cinema
おとうと
映画監督、市川崑が亡くなったとのニュースを見た。

市川崑といえば、幸田文原作の「おとうと」。
ー私の中では。
その昔、彼の作品とは知らずに、テレビで見た。

結核に倒れた弟と、弟を看病する姉の姿。
病床の弟と、彼に付き添う姉とが
紐で手を繋いで眠るシーンに
小学生の私はなぜか
(がーん)
と衝撃を受けた。

その後、原作を読んだけれど、
原作も、映画も、余韻の残るものだった。

高名な作家の父、母亡き後、嫁いできた継母。
継母は、後添えのコンプレックスと、リウマチの持病とで
なかなか家族に心を開くことが出来ず、信仰の世界に閉じこもっている。
父は、家庭に正面から向き合おうとしない。

家庭の温かさに飢えている多感な弟、碧郎。
姉のげんは、実際家らしく、そうしたやりづらさをやりすごしながら
日々を送っているが、
碧郎は寂しさから、やがて荒れた生活を送るようになり、
結核を患ってしまう。
げんは、自分の婚期を逸するのも承知の上で、弟の看病に
専心する・・・。

弟の要望で、人目も構わず高島田に髷を結い、病床に赴く姉。
鍋焼きを食べたがる弟ーしかし病篤く、熱いうどんをすするなどは
とてもできそうもない彼のために、それと気づかれないように、うどんを
一口大の長さに切っておいてやる姉。
しかし、哀しいかな、家庭の団欒から長らく遠ざかっていて、
病人の一人でする食事のわびしさまでは思い至れない姉。
姉さんもおあがりよ、と誘われて、戸惑ってしまう。

病状がいよいよいけなくなって、
やがて、昏睡状態に陥る弟の枕元で、
「・・・碧郎さん、碧郎さん!」と
涙に暮れる継母。


誰が悪い、というわけではなく
どうしてかすれ違ってしまう家族の哀しみを
感じたりした。

さて、市川崑は「東京オリンピック」を映画に撮ったのだそうな。
オリンピック映画、と聞いて連想するのは、ドイツの女性映画監督、
レニ・リーフェンシュタールのことだった。

ー見たい。
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by fracoco-Y | 2008-02-13 23:48 | cinema